おすすめの名曲・名盤・名演奏 「ピンク・フロイド Shine On You Crazy Diamond」

Japan File編集部おすすめの名曲・名盤・名演奏

知っている人は知っている、でも知らない人は知らない至高の名曲、極上の演奏、歴史的名盤。
楽しい時も悲しい時も、音楽を聴いて過ごしてきた編集スタッフが、超有名どころからマイナーなものまで、おすすめの名曲をジャンルを問わずご紹介します。好きな人は「うんうん」と頷きながら、知らない人は「どれどれ?」そんな軽い気持ちでどうぞ。

本日は、レコード・CD総売り上げは2億枚以上、音がつむぐことのできる美の極致の一つの形を人類に提示してくれた、イギリスのプログレッシブ・ロックバンド「ピンクフロイド」を取り上げます。

唐突ですが、筆者はピンクフロイドが好きです。

高校一年生の夏、初めてフロイドの「Shine On You Crazy Diamond」を聞いた時、体の中心を何かが貫いたような衝撃を受けました。デヴィッド・ギルモアの奏でるギターの音色の美しさに、ただただ痺れました。

小学校高学年からラジオでロックを聴きはじめ、中一の時に深夜ラジオでホワイトライオンを聞いてハードロック、ヘビーメタルに目覚め、暇さえあれば図書館とディスクユニオンに通い詰め、様々なジャンルを聞きあさっていた時期。

ふとした拍子に耳に入ってきた「Shine On You Crazy Diamond」の、美しくも切れ味鋭く、激情と静謐が入り混じった音楽は、瞬時に身体の中に入り込み、背骨を貫き、脳天まで抜けて行ったのです。全身に電流が走ったような不思議な感覚にとらわれたことをはっきり覚えています。

その当時、スラッシュメタル好きな友人の影響もあって、日常的に聞いていた音楽のジャンルは、ハードなものはどんどんハードな方向へといっていましたが、ギターやベース、ドラムの演奏と音の激しさ=激しい音楽というわけでは必ずしもなく、抑えた演奏と音の中に、感情の極限をも表現しうる激しさがあるのだと学んだ瞬間でした。

その後、「Shine On You Crazy Diamond」を幾度聞いたかわかりません。ピンクフロイドをご存知の方はよく知っている通り、ほかにも名曲は沢山あるのですが、やはり「Shine On You Crazy Diamond」は特別な曲です。特に、下の動画の5:51あたりのギターのソロは、独断と偏見で選ぶ「名ギターソロの10選」の一つに入ると思っています。

こちらは2016年7月7日と8日にポンペイ円形闘技場で行われたライブの様子。「円熟味」という言葉がふさわしいデヴィッド・ギルモアの名演が収められています。

こちらは同じくポンペイで、「Shine On You Crazy Diamond」リリース(1975年)の4年ほど前、1971年に行われた伝説的なライブの様子。曲は「Echoes」。昨年から続くコロナ禍において国内でも様々なライブやコンサートが無観客で行われたりもしましたが、それを50年も先取りしたかのような、無観客の遺跡で行われたライブ。若かりし頃のメンバーの様子もさることながら、紀元前の記憶を刻むポンペイの遺跡の雰囲気とその中にある巨大な機材のコントラスト、そして繰り広げられる素晴らしいパフォーマンス。穏やかで優しい唄。徐々に激しくなっていく演奏。必見です。

JapanFile編集部

独断と偏見も込みで、様々なおすすめのモノ、コト、オトなんかをご紹介します。