人間は犬に勝てるのか? ヒトが犬と戦ったらどうなるの?

皆さんは犬はお好きですか?「犬が大好き!絶対の犬派!」という人もいれば、「ネコ派だけど犬も好き!」という人もいるでしょう。もちろん、「犬はどうも苦手」という人や「犬は好きじゃない」「犬は嫌い」という人もいるかと思います。

犬が好きな人はあまり考えたくもないことかもしれませんが、「もし犬と人間が戦ったらどちらが勝つのか?」今日はそれについて考えてみたいと思います。(これは犬が好きだから嫌いだからということではなく、客観的に生き物として見た時に、という考察です。)

浦沢直樹の漫画「マスターキートン」の中に、「人間は絶対、訓練された犬にはかなわない!」というセリフがあり、続く子供の頃の回想シーンでお父さんがキートン(太一)に「犬は見かけよりずっと強い!人間よりはるかにな。」と教えるシーンがあります。

別の場面で、何度も襲い掛かってくる訓練された軍用犬のジャーマンシェパードと対峙しながら、子供の頃の記憶で、助けようとした子犬をかみ殺した大きな犬と戦うシーンが入るのですが、お父さんは襲い掛かって来た大きな犬にある方法で対応し、キートンも同様にジャーマンシェパードに同じ方法で対応するのです。

キートンの話を読む以前から犬に勝てると思ったことはないですが、その話を読んで以降は犬と戦おうと思うことすら止めることにしました。そもそも日常生活の中でそんなシーンはほとんどないですが、一度夕暮れの奈良の山中で、別の時はポルトガルの片田舎で複数の野犬に吠えられたことがあり、キートンのセリフが頭をよぎって、じっとり背中に汗をかいた覚えがあります。一匹(一頭)でも勝てないのに、複数いたらどうなるのか。ポルトガルの犬は中型~小型の雑種という感じでしたが、奈良の時はそれこそシェパードクラスの大きな犬種も混じっていて、盗賊団のようにボスを中心に統率が取れているような感じでした。

実際問題、野犬に出会ったことがある方ならわかるかもしれませんが、野犬とリアルに対峙すると勝てそうな気配は全くしません。野犬といってもサイズ的にチワワ位ならまだわかりませんが、中型犬くらいになれば、本当に命の危機を感じるのです。もちろんクマなどと比較すれば(クマと遭遇したことはありませんが)まだ気持ちに余裕はあるのかもしれませんが、純粋に野生の恐怖を感じるのです。

犬に慣れ親しんでいる方でも、家庭で犬を飼っているだけならば、そうそうそんな恐怖を味わったことがある方はいないかもしれません。むしろ、人に吠えたり唸ったりと多少の怖さを見せるケースがたまにはあるものの、基本的に飼い犬であれば「賢くて人間に従順でかわいくて」、というのが「犬」に対しての多くの方の認識なのではないでしょうか。

しかし犬を訓練されている方や、野犬と幾度も遭遇したことのある方なら、犬の能力、犬の怖さ、犬の強さについて体感でご存じかも知れません。犬は首が弱点だからドーベルマンなどは首周りにトゲトゲのついた首輪をしているとか、犬の急所である舌を掴めば動きが止まるからその時に反撃して撃退する、なんて話もありますが、実際、生身で犬に相対したら、それも相手が複数であったなら絶対に勝てはしないと思います。

キートンの話では、腕に服やネクタイをぐるぐる巻きにして防御し、川の中に誘い込んで、とびかかって来た犬に正面から口に手を突っ込む形で腕をかませ、そのまま舌を掴んで無力化してから水に沈めて弱らせる、という方法を取ります。犬は体の構造上、舌を掴まれると動けなくなるとかで、お父さんはキートンにそれを説明しながら襲ってきた大きな犬を川に沈めるのです。漫画の中ではお父さんがどうしたのかその顛末は描かれておらず、キートンの方だけ、ジャーマンシェパードが檻に入れられている様子が最後のページで描かれます。

野犬に襲われた時、実際にそんなことが可能なのか、噛まれた瞬間犬歯が服を突き抜け腕の中に食い込みそうなものですし、舌などもそう容易に掴めそうにないですし、犬の方も水から顔を出そうとして大暴れしそうなものですが、念のために、本当に野犬に襲われることがあったら撃退法として覚えておこうと思った訳です。実際には、二回とも「山」と、「路地」で水など一切なかったですし、二度とも夏だったので、半袖を着ていて、腕に巻くための布は一切なかったのですが・・・。結果的には二回とも相手が引いてくれたので助かりました。野犬たちが本当に怒っていたり、かなりお腹が空いていたなら話は違ったかもしれません。とにかく運が良かったのです。

というわけで、犬の実際のデータを挙げつつ、犬に、もしくは野犬に人間が勝てるのか、考えてみましょう。

物理的な強さと速さ、持久力

これは多くの方が当たり前のように知っていると思いますが、犬は人間よりも速く走れます。それも圧倒的です。競争犬としても知られるグレイハウンドは、時速70キロメートルを超えるといわれ、中には時速約80キロメートルで走った記録もあるといいます。人間の平均的な走る速さは時速約20キロメートル~30キロメートル程度といわれますし、世界最速のウサイン・ボルトでさえ、トップスピードで時速約44キロメートル(それでも驚愕する数値ですが)なので、これがいかに速いスピードであるか、おわかりでしょう。

また、ボルゾイやハスキーなどのように体力的にとてもすぐれた犬種もいて、元々猟犬やそり犬であったこともあり、持久力にも優れています。犬はそもそも人間と比べると心臓や肺が大きいそうで、それが持久力にも繋がっているとか。時速20キロメートル前後で何時間も走ったりすることが出来る犬もいるといいます。

強さに関しても、ドーベルマンやロットワイラー、ジャーマンシェパード、グレートデンなど、体格を考えると筋力的にも人間を圧倒しそうです。

もちろん、嚙む力に関しても犬の咬合力は人間よりも強力です。

というわけで、データを出して比べるべくもなかったかもしれません。普通に素手で戦ったら人間は犬には勝てないと思った方が良さそうです。ただ、通常はそんな場面になることは滅多にないでしょうし、かりに野犬に襲われそうになっても人間には知恵があり、両手、両足を使うこともできます。野犬に襲われそうになったら、真っ向から戦うのではなく、追い払うことを目的に、持っているもの、手近にあるものを最大限利用して対応したほうが良さそうです。

結局、人間と犬は仲良く共生する関係にあるのが一番いいのかもしれませんね。

ちなみに私、大の犬派です。

JapanFile編集部

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