地震の際、自分と家族の身を守るためにできること すべきこと

大地震に備える 過去の震災の教訓から学べることとは

何か大きな災害が起きた時、人は本当に無力であることを感じます。科学技術のお陰で、「台風」は事前にその規模やコースが予測できるようになり、昔と比べればだいぶ対策ができるようになったと思われますが、それでも毎年やってくる台風による被害は依然として後を絶ちません。ましてや地震に対しては、緊急速報が流れるようになったとはいえ、それで準備したり逃げるほどの時間的余裕はなく、ほんの少し心の準備が出来る程度です。もちろん、それだけでもありがたいことではありますが、この度の震災やこれまで経験した震災とその被害をみるに、一日とは言わずとも、せめて1時間でも前にわかるようになれば、避難することも出来て助かる人もどれだけ増えることか・・・と歯がゆい気持ちになります。地震や予知、防災に関して、日々研究・開発されている学者や研究者、企業、そして政府の方々は、すでに出来得る最大限のことをされているとは思いますが、一日も早くそうした技術が確立し、さらに早い速報・警報のシステムが出来てくれることを願ってやみません。

1923年の関東大震災以降、日本国内で起きた地震のうち、100人以上の方がなくなった大きな地震は15回を超えるといいます。

せめて今は、一人でも多くの方が被害にあわなくて済むよう、地震が起きた時のために事前にすべきこと、できること、した方がよいこと、そして地震が起きた際に実際にするべきこと、出来ること、した方が良いことなど、項目を上げてみました。すでに当たり前のこと、知っていること、分かり切っていることではありますが、今一度確認し、備えの参考にして頂ければと思います。

あらかじめの準備 実際の地震の際に身を守るためにできること

地震は、いつどこで発生するかわからないからこそ、実際に地震が発生した際、少しでも自分と自分の大切な人々の身を守ることができるように、日頃から備えておくことが肝要です。
以下に、事前に準備できることと、実際に地震が起きた際にすることを挙げてみます。

◇地震に備える 事前の準備

地震はいつ発生するかわかりませんが、地震が起きた時のために準備をすることはできます。地震にあらかじめ備え、地震の際に身を守るために、日頃から以下の用意をしておきましょう。

冷蔵庫、テレビなどの家電製品、本棚、食器棚等の家具の固定

家具は、地震で倒れて人にぶつかったり、ガラスなどの破片が飛び散ったりして危険です。地震の際に倒れたり、落下したりする恐れのある食器棚やテレビ台などの家具は、転倒しにくいようにしっかりと固定しておきましょう。また、ガラス窓やベランダの手すりなど、危険な箇所についても確認しておきましょう。

避難場所・避難経路の確認

地震が発生したときには、すぐに安全な場所に避難できるように、避難経路と避難場所を事前に確認しておきましょう。また、避難経路に倒壊の危険があるものや、避難を妨げるものがないかも確認しておきましょう。自宅や職場の近くにある避難所や避難場所をしっかりと確認し、避難経路を家族で共有しておきましょう。

防災グッズの準備

食料、飲料水、スマホの充電器、救急用品、生理用品、非常用トイレ、ヘルメット、軍手などに加え、最低限の生活に必要なものが含まれます。家族の人数や状況に合わせて、必要なものを準備しましょう。通常時は、スマホがあれば明かり用のライトも情報収集もできると思ってしまいますが、いざという時にスマホは連絡手段として必須となります。出来ればヘッドライトやラジオなどはそれぞれ用意しておくのがおすすめです。ホームセンターなどでも色々と用意されていますが、キャンプや山の道具のお店に行くと高機能のものがあるので、そちらもおすすめです。いざという時に電池が切れて役に立たない、ということにならないよう、予備の電池も必ず用意しましょう。手動で電気が起こせるものなども良いかもしれませんが、状況によってはハンドル等を回して手動で発電するのが大変な時もあります。

緊急用のグッズとして必要なもの おすすめのもの 実際に役に立ったもの

非常用の袋に入れておくと良い物

食料 そのままでもすぐ食べられるもの 温かくして食べられるものも
飲料
ヘッドライト・予備の電池
モバイルバッテリー
ひざ掛け
軍手
ヘルメット
携帯トイレ
トイレットペーパー、ティッシュペーパー
ウェットティッシュ
タオル
歯ブラシ、歯磨き粉
紙皿や割り箸、ラップ
石鹸
救急セット・常備薬、薬手帳
現金
ライター
ハサミ
ナイフ
筆記用具
下着類、靴下、スリッパ
身分証明書(免許証、保険証、学生証)、通帳など
トランプやウノなどのカードゲーム

予備の靴(玄関の靴を履いて逃げることができればよいですが、揺れが激しく家屋が倒壊し玄関の靴を見つけることができないケースもあります。いざという時に靴があると安心です。)

避難所に行くと用意されているものもありますが、薬など特に自分が必要なものはすぐ持ち出せるようにしておくか、予備としていれておくと安心です。

非常用の持ち出し袋(リュック)は、普段自分が一番よくいる部屋、もしくは寝室に置いておくのが良いと思われます。玄関に置いておく、という人も多いかもしれませんが、状況によっては玄関の方に行かれない(廊下が通れない、玄関の方が倒壊している等)場合もあり、ベランダや庭の方から出なくてはいけないケースもあるので、とにかくいつでもすぐ手の届くところに置いておくと安心です。

◇地震発生時の対応

地震が発生したときの行動

地震が発生したときには、次のことに気をつけましょう。

地震が発生したら、何よりまずすぐに身を守る行動をとりましょう。「机の下に逃げる」というのが鉄則として昔から言われていますが、家屋が倒壊した場合、それによって助かる場合もある一方で逃げ損ねてしまうというケースも報告されています。また、「あまりにすごい揺れで、机の下に入るどころではなかった」と阪神淡路大震災を経験した知人が話していました。お住まいの建物の頑丈さ(築年数、耐震基準等)、構造(免震構造かどうか)なども考慮したほうがいいようです。

地震が発生した際、揺れが大きければ大きいほど動揺してしまうのは当然ですが、出来るだけ落ち着いて、安全な場所に避難します。

地震が発生した際にどこにいるか、お住まいの地域が沿岸部か都市部か、山間の地域かなどによっても取るべき対応は異なりますが、例えば家にいる場合、大きな地震の揺れを感じたら、すぐに机やテーブルの下など、できるだけ丈夫な物の下にもぐり込み、頭を保護する、火を使っている場合は、すぐに火を消す、といった基本的な動作はもちろんですが、臨機応変に対応できるよう、学校や職場などで行うような避難訓練ほどではなくとも、家庭でもシミュレーションをしておくといいかもしれません。

屋外にいる場合は、出来るだけ建物から離れるのも大事です。屋根瓦、ブロック塀、古い建物の壁、電柱、街灯などの倒壊や落下、崩落などに注意しましょう。

具体的な行動としては、次のようなものがあります。

屋内にいるとき

揺れを感じたら、すぐに机やテーブルなどの下にもぐり、頭や首などを守る。すぐそばにクッションやまくらなどがあれば、それらも頭や首を保護するために一緒に使ってください。

揺れが収まったら、屋外に避難するか、家の中で安全な場所に待機します。

台所のコンロやリビングの石油ストーブの火を消す、電気ストーブ、電気ヒーターなどのスイッチを消す。停電になってスイッチが自動で切れても、復旧した際に電気が流れそこから火事になるケースもあるようです。エアコンなどはまだしも、電気ストーブなど、通電すると熱が出るものはスイッチを消した上でコンセントを抜くようにすると安心です。

揺れが収まっても、すぐに外に出ようとせず、周囲の状況を確認してから避難しましょう。

◇ 家具や照明器具などの転倒防止対策をしておきましょう。
◇ 食器棚や冷蔵庫などの倒壊に注意しましょう。
◇ 台所で調理中の場合は、火を消して、すぐに安全な場所に避難しましょう。
◇ 揺れを感じたら、頭を保護し、丈夫な机やテーブルの下などに身を隠しましょう。
◇ 揺れが収まっても、すぐに外に出ず、周囲の状況を確認してから行動しましょう。

家にいるときといっても、お住まいの地域や建物、(新築や築浅、耐震基準をクリアしているか、一戸建、マンションや団地、アパートの場合等)によってすべき対策と対応は異なると思いますので、実際の状況に合わせて行動してくださいね。

屋外にいるとき

建物や電柱、看板など、倒壊や落下のおそれのある物から離れ、安全な場所に避難します。 倒壊の恐れがある建物や場所、地割れや液状化などの恐れがある場所には近づかないようにしましょう。

地下街やトンネル、高架下などの危険な場所、閉じ込められてしまう恐れのある場所にいたら、すぐに避難しましょう。

運転している時は車の中にいたら、路肩など安全な場所に停車して、揺れが収まってから、安全を確認し、車外に避難しましょう。高速道路を走行中の場合は特に周囲をよく見て、十分気を付けてください。

◇ 建物や電柱など、倒壊や落下のおそれがある場所から離れましょう。
◇ 瓦やガラスなどの落下に注意しましょう。
◇ 地面にしゃがみこんで、頭を守りましょう。
◇ 車内にいる場合は、車を安全な場所に停車させ、車外に避難しましょう。

その他の場所にいるとき

◇ エレベーターに乗っていたら、最寄の階で停止させて、すぐに降りましょう。自分で降りられない場合は、救助を呼びましょう。
また、地震が発生した際には、エレベーターは止まってしまう可能性があるため、使用を控えましょう。
◇ 階段を下りていたら、階段の中央に立ち、揺れが収まってから避難しましょう。
◇ プールや海水浴場など、水辺にいるときは、すぐに安全な場所に避難しましょう。

情報収集に努める

地震発生後は、ラジオやテレビで情報収集に努めましょう。また、避難所や避難場所に避難する場合は、家族と連絡を取り合うようにしましょう。

あらかじめ、家族で待ち合わせ場所や連絡方法を決めておくと安心です。特に小さなお子さんや小学生のお子さんがいるご家庭は、きちんと決めておくと安心です。

避難する

地震の揺れが収まったら、安全な場所に避難しましょう。

二次災害に注意する

地震の揺れが収まっても、その後に火災や津波などの二次災害が発生することがあります。二次災害に注意し、安全を確保しましょう。

その他

◇ 地震保険に加入しておきましょう。
◇ 避難場所や避難経路を確認しておきましょう。
◇ 家族や近隣の人と連絡先を共有しておきましょう。

地震は、いつどこで発生するかわかりません。そのため、日頃から備えておくことが大切です。日頃から備えをしておけば、被害を少しでも抑えることができる可能性があがります。地震の際には、落ち着いて行動し、身の安全を確保しましょう。

注意点:

現金・宝石・貴金属類について

家に現金や宝石・貴金属類を置いておくと、避難する際にそれが気になって逃げ遅れたり、火災や津波などで無くなってしまう可能性もあるほか、あまり考えたくないことですが、どさくさに紛れて盗られてしまう可能性もありえます。(避難所で盗られるという残念なニュースも届いています。)必要最低限の現金のほかは、銀行などに預けておく方が何かと安心です。

紛争地域の人々はいざという時に財産を全て身に着けて逃げると聞きますが、そういった地域では住んでいた場所に二度と戻ってこられない可能性、難民になってしまう可能性が高いので仕方ないといいます。震災の際に財産が気になって逃げ遅れてしまい、その結果命を失うことになってしまっては元も子もありません。

家財道具について

特にお気に入りのもの、大切にしていたもの、高価なものは持ち出したいという気持ちになると思いますが、関東大震災の際には多くの人が大八車で荷物を持って逃げ出し、そのせいで渋滞が起き、さらに荷物に火の粉が降りかかって燃えだして火災が広がったという経緯があったそうです。今は大八車ではなく自動車ですし、火の粉で燃えだすということはないにしても、家具などを持ち出している間に逃げ遅れてしまったとしたら本末転倒です。まずは自分と家族の命を一番に行動することを心がけましょう。

JapanFile編集部

独断と偏見も込みで、様々なおすすめのモノ、コト、オトなんかをご紹介します。