おすすめの名曲・名盤・名演奏 「心に沁みるチェロの名曲」

Japan File編集部おすすめの名曲・名盤・名演奏

知っている人は知っている、でも知らない人は知らない至高の名曲、極上の演奏、歴史的名盤。

歩きながら、考え事をしながら、太陽の光を浴びながら、月を見ながら、頭の中にはその時々の音楽が鳴っている。数十年前からクラシック音楽を聴いてきた編集スタッフが、超有名どころからマイナーなものまで、おすすめの名曲をご紹介します。知っている人は「そうそう」と頷きながら、知らない人は「どんな曲?」そんな気軽な気持ちでどうぞ。

本日は、チェロの名曲を取り上げます。

ある時、電車の中で、前の席に座っている人がチェロのケースを目の前において、両手で楽譜をかかえ、鉛筆を持った指で音符を流れるような早さでたどっていたのを見たことがあります。私達が音楽を聴くようにして、あの人の頭の中には音楽が鳴っているのだろうなあ。人間鍛えるとすごいなぁ、とつくづく感心したものでした。

筆者にはクラシック音楽の楽器の素養はほとんどないのですが、昔からなぜかチェロには憧れがあります。ヴァイオリンやヴィオラとはまた違う、深くて太くて豊満な音色。時に官能的で、時に躍動感に満ち溢れ、身体の奥に、心の底にじんわりと沁みてくるような純粋な音。目を瞑って聴いているだけで、思わず涙があふれてきたり、なぜだか少し嬉しくなったり。駆け抜けるようなパッセージ。重層的な和音。たゆたうような旋律。脳が揺さぶられるようなトリル。華やかなカデンツァ。

ゆったりと流れるようなメロディは、遥か昔の想念を思い起こさせ、重厚な音色の渦は心をしばし惑わせる。これほどまでに人の精神に作用する音を奏でることができる楽器を、一度でいいから心の赴くままに弾いてみたい、そう思ったことは数知れず。とにもかくにも憧れの楽器であり、そんなチェロを美しく奏でるチェロ奏者を心から素晴らしいと思っているのです。

というわけで、今日はチェロの名曲、名演奏をお届けしましょう。

無伴奏チェロ組曲第1番 バッハ

チェロの曲といえばこの曲を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。いわずと知れた大作曲家ヨハン・ゼバスティアン・バッハによるチェロ独奏曲です。バッハの無伴奏チェロ組曲は、第1番ト長調 BWV1007から、第2番ニ短調 BWV1008、第3番ハ長調 BWV1009、第4番変ホ長調 BWV1010、第5番ハ短調 BWV1011、第6番ニ長調 BWV1012まで全六曲あり、いずれも名曲ですが、特に1番は有名で、名演奏も沢山ありますね。演奏家の解釈により、スピードが速いものからゆっくりめのものまであるので、いろいろ聴いて好みのモノを探してみるのもいいかも知れません。ここでは稀代のチェロ名演奏家として知られるカザルスの映像をご紹介します。


こちらは無伴奏チェロ組曲全六曲入ったコンプリート版。カザルスの1936年~1939年の演奏です。

チェロソナタ第3番 ベートーヴェン

ベートーヴェンが38歳の時に書き上げたチェロソナタ。ベートーヴェンが作曲したチェロソナタ5曲のうち最も知られた曲で、複雑かつ優美なピアノとの絡みが美しい名曲。多くのチェリストの重要なレパートリーの一つとされている曲です。チェロの演奏は卓越した技巧で知られるフランスのチェリスト・ポール・トルトゥリエ。

チェロソナタ第1番 ブラームス

個人的に大好きな作曲家ブラームスの作品の中でも特に好きな作品。チェロの魅力である低音が特に印象に残る曲です。チェロの演奏は天才少女としてデビューし、多くの名演を残しながら、難病に侵され夭折した伝説のチェリスト・ジャクリーヌ・デュ・プレです。

チェロ協奏曲 (エルガー

ドラマチックな展開と美しいメロディが印象的なエルガーのチェロ協奏曲。エルガーが61歳の時に完成させた曲です。チェロの演奏はエルガーのこの曲を世間に広く知らしめたことに大いに貢献したといわれる、エルガーと同じイギリス生まれのジャクリーヌ・デュ・プレ。彼女が21歳の時に結婚したダニエル・バレンボイム指揮。

チェロ協奏曲第1番 ハイドン

ハイドンが1765年~1767年頃に作曲したといわれるチェロ協奏曲。ハイドンらしい華やかで明るい雰囲気が印象的な曲です。チェロの演奏はラトヴィア出身の世界的チェリスト・ミッシャ・マイスキー。

チェロ協奏曲 シューマン

ドイツ・ロマン派を代表する作曲家シューマンが40歳の時に作曲したチェロ協奏曲。どこか、もの悲しさが漂う名曲です。チェロの演奏は20世紀を代表するアゼルバイジャン出身の名チェリスト・ムスティスラフ・ロストロポーヴィチです。

チェロ協奏曲 ドヴォルザーク

おそらくチェロ協奏曲の中ではもっとも知られている曲であろうドヴォルザークのチェロ協奏曲。日本人にはなじみ深い交響曲第9番「新世界より」などと並ぶドヴォルザークの代表作です。チェロの演奏は世界的に有名な中国系アメリカ人のチェリストで、日本でも人気の高いヨーヨー・マ。

鳥の歌(カタルーニャ民謡)

スペイン・カタルーニャ地方の民謡「鳥の歌(El Cant dels Ocells)」は、キリストの生誕を祝って鳥が歌う様子を表したクリスマス・ソング。カタルーニャ出身であるカザルスの演奏によって世界的に有名になり、チェロの定番レパートリーになったという逸話のある名曲です。


こちらの演奏も素晴らしいのでおすすめです。

JapanFile編集部

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