ヨーロッパのクリスマス クリスマス当日は公共交通機関が止まる?

華やかさと静けさの対比 ヨーロッパのクリスマス・シーズンとクリスマス・イブとクリスマスの話

冬の時期のヨーロッパ、それも12月のヨーロッパ(南欧などの温かい場所を除いた地域)に旅行や仕事で長期滞在したことのある方や、現地に住んでいる方(住んでいた方)なら、冬のヨーロッパの厳しい寒さに身震いし、思わず身をすくめたというような経験をしたことがある方は多いでしょう。

ヨーロッパは緯度の割には温暖とよくいわれますが、それはあくまで「高緯度の割には」という「枕詞」が付く表現であり、実際の気温を見ると(地域にも寄りますが)、12月の日中の平均気温は5度前後なんていう場所も珍しくありません。また、冬は毎日のようにどんよりと曇っている場所も多く、「ヨーロッパの冬は寒くて暗い」というイメージを持っている人も多いのです。

しかし、そんな寒さの一方で、12月であればヨーロッパの街中はたいていどこもクリスマス一色となり、寒いながらも目にはとても楽しい季節でもあります。例え天候は曇りでも気分は盛り上がり心も暖かくなるような感じです。煌びやかなイルミネーションや装飾で彩られた通りや建物、クリスマス・ツリー。そしてクリスマスマーケットの賑わい。地元の人々に交じって(大都会なら観光客も相当数いますが)、クリスマス雑貨を物色したり、伝統工芸品を見たり、クリスマスの食べ物をつまんだり、グリューワインを飲んだり。

宗教としてのクリスマスではなく「イベント」としてのクリスマスとなってしまっている日本とはまた違う和やかで楽しい雰囲気が町に漂います。

そのような感じでヨーロッパのクリスマスシーズンでも12月24日より前は、人の多い中で買い物をしたり、町中を散策していると、「クリスマス」=「賑やかで楽しいイベント」と、あまり日本と差はなさそうに感じたりもするのですが、やはり「クリスマス」がキリスト教の人々にとって大切な行事(イエス・キリストの降誕を祝う日)だとはっきりとわかるのが、12月25日のクリスマス当日とその前後です。

地域によっても多少の差はありますが普段は遅くまでやっているようなスーパーマーケットも含めて24日のクリスマスイブの夕方には早めに店じまいをし、25日にはお休みにするところが多く、交通機関なども軒並みストップするのです。町は閑散とし、タクシーもほとんど走っていません。「基本的にヨーロッパではクリスマスは家族で過ごす」という知識が、身をもって頭の中に入ってくる瞬間です。事前に準備をしておかないと、下手すると必要な食料品を調達することもできないのです。

このようにクリスマス当日は、独り者の旅行者や帰省しない留学生などにとっては寂しさが募る日となりますが、町の様子としてはとても静かで穏やかな様子となるのです。

日本では最近、かつてのお正月のように正月三が日くらいはお店を閉める所も増えてきましたが、基本的に正月の元旦も公共交通機関は動いていますし、お店がやっている所も多いですよね。それに慣れていると、ことさらクリスマス当日のヨーロッパの静かな町並みとひっそりとした雰囲気は特別に感じることでしょう。

クリスマス・ツリーとノートルダム大聖堂 パリのクリスマス風景

JapanFile編集部

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