ウィキペディアのニセもの、コピーサイトにご用心!

内容の正確性に関しては色々言われることがありながらも、その圧倒的な情報量で利用者数の多いウィキペディア。誕生から20年以上経って、今なお日々拡大し続けているオンライン百科事典です。皆さんも、仕事や勉強等の調べ物の際などに利用することも多いのではないでしょうか。250を超える言語で記述されているという項目の総数は6000万近くもあるといい、不正確な内容が含まれている可能性を差し引いても、その情報量の多さと便利さはやはり群を抜いています。

そんなウィキペディアですが、最近ウィキペディアを詐称する偽物サイト、ウィキペディアのコピーサイトが頻出しているのをご存知ですか?

筆者は仕事柄、海外の都市や観光地などを調べることが多いのですが、ウィキペディアだと思ってクリックしてみたら違うサイトだったということが何度かあり、気になって調べてみると同じような経験をしている人は少なくないようです。特徴としては、検索結果で出てくる記事のタイトル名の脇に「ランバーグ、フラクスタッド – Ramberg, Flakstad – Wikipedia」のように「Wikipedia」と記されていること。

これを見た瞬間に「ウィキペディアだ」と判断して、なんの疑いも抱かずクリックしてしまうという訳です。少し気を付けて見てみれば、タイトル名の上に記されているURLには、正式なウィキペディアのURLである「https://ja.wikipedia.org」(ウィキペディア日本語版)とは異なる文字列が記されているので、ウィキペディアとは別サイトであることが分かるのですが、情報を検索しようと横断的にいくつもサイトをクリックして読んでいると、タイトル名の脇に「Wikipedia」とあるだけで、ウィキペディアだと思いこんでよく確認もせずクリックしてしまうのです。

これこそまさにニセサイト、コピーサイトを作っている人間の思うつぼなのでしょう。何度か引っかかった後はURLを確認してからリンクを踏むようにはしていますが、急いでいると思わずクリックしてしまうことも。グーグル先生の検索結果表示の精度に期待したいところです。(chromeの拡張機能 uBlacklist / firefoxのaddon uBlacklist で検索結果から除外することも可能です。)

筆者がメモを取ったURL及び調べたら出てきたウィキペディアのコピーサイト、偽サイトのURLは以下のようなもの。

ja.wjmirae (.) net
janghan (.) net
kcugenii (.) com
askwiki (.) ru
sayfaekle (.) net
abadgar-q (.) com
de2 (.) wiki
he2 (.) wiki
cs2 (.) wiki
wikinew (.) wiki
wikiarabi (.) org
nipponkaigi (.) net
japan2 (.) wiki
vvikipedla (.) com

この中でも思わず、「ふふふ」と笑ってしまったのが「vvikipedla」。wをvvと「vを二つ」にするあたり、中々のセンスです。

ほかにもまだまだありそうですが、いずれも英語版の記事を各国語に自動翻訳して制作しているようで、日本語が多少(かなり)おかしいのも特徴的。コピーサイトの目的は定かではありませんが、広告を貼っているものは広告収益目的だと思われるのでそこまで大きな害は無さそうですが、ウイルスなどが仕込まれている可能性も否定できません。参考文献が省かれていたり、内容に誤りがあっても編集することができないなど問題点が多い割に、本家のウィキにはまだ日本語版がない記事(英語版の記事数は600万以上に対して、日本語版の記事は130万弱)の場合など、コピーサイトが検索結果の上位に表示されているケースも現状多々あり、機械的に自動翻訳されただけの質の低い記事が、日本語での情報源になってしまいかねないなど、非常に大きな問題を内包しています。何より、沢山の人々の善意の上に成り立っている本家のウィキペディアを丸パクリして、私的に利用している点は特に問題になりそうです。

検索エンジンが、これらのことをどのように判断し、どう対応していくかはまだわかりません(近いうちに駆逐されていくと思いますが・・・)が、「ウィキペディアのコピーサイトがある」「ウィキペディアの偽物がある」ということを今日までご存じなかった方は、ぜひ頭の片隅に入れてお気を付け下さい。

サムネイル:Version 1 by Nohat (concept by Paullusmagnus); Wikimedia., CC BY-SA 3.0 , via Wikimedia Commons

JapanFile編集部

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